エッセイ・コーナー  KAZUOは要りませんか?

しまむらかずおが描くつれづれ  その1

1話-5話写真

バックナンバー 第6話~10話
第6話  「 キャンドル」    2014.8.25
第7話  「 エッセイのエッセイ」2014.8.26
第8話  「 レインマン」    2014.8.27
第9話  「 リサイタル」    2014.8.28
第10話  「彼女のお墓」     2014.9.1
バックナンバー 第11話~15話
第11 話 「九月の蚊」     2014.9.3
第12 話 「ビフォー・アフター」2014.9.8
第13 話 「旅」        2014.9.15
第14 話 「名前」       2014.9.19
第15 話 「声」        2014.9.27
バックナンバー 第16話~20話
第16 話 「忘れること」2014.10.10
第17 話 「DIY」   2014.10.20
第18話  「神無月」  2014.10.27
第19 話 「笑い」   2014.10.30
第20 話 「友だち」  2014.11.14

バックナンバー 第21話~25話

第21話 「選ぶ」   2014.11.17

第22話 「一週間」  2014.11.25

第23話 「重い・軽い」2014.11.27

第24話 「時」    2014.12.11

第25話 「忠臣蔵」  2014.12.15

バックナンバー 第26話~30話

第26話 「振り返り」2014.12.31

第27話 「ゆううつ」2015.1.11

第28話 「晴天」  2015.1.16

第29話 「芝居」  2015.1.31

第30話 「ブリコ」 2015.2.1

バックナンバー 第31話~35話

第31話 「節分」  2015.2.3

第32話 「寒いッス」2015.2.9

第33話 「余計」  2015.2.27

第34話 「○○の為」2015.3.1

第35話 「デキル」 2015.3.11

バックナンバー 第36話~40話

第36話 「春雨」2015.3.20
第37話 「卒業」2015.3.24

第38話 「木蓮」2015.3.30

第39話 「三」 2015.4.10

第40話 「アテ」2015.4.14

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第41話 「夢」2015.4.17

第42話 「生」2015.4.20

第43話 「花」2015.4.25

第44話 「劇」2015.5.6

第45話 「腹」2015.5.8

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第46話 「話」2015.5.29

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第48話 「母」2015.6.10

第49話 「箱」2015.6.13

第50話 「50」2015.6.15

バックナンバー 第51~55話

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第54話 「オモシロイ」2015.7.27

第55話 「RYOMA」2015.8.3

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第56話 「よさこい」2015.8.5

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第58話 「宿題」2015.8.31

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第63話 「シレット」2015.9.28

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第65話 「リレー」2015.10.13

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第68話 「筆山」2015.11.25

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第70話 「年の瀬」2015.12.31

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第72話 「雪」2016.1.28

第73話 「桜咲く」2016.4.11

第74話 「宮本くん」2016.4.14

第75話 「宮本君・その2」2016.4.14

バックナンバー 第76~80話
第76話 「宮本くん・その3」2016.4.15

第77話 「宮本くん・その最終話」2016.5.5

第78話 「にゅうばい」2016.6.7

第79話 「VEGA」2016.7.6

 

 

第5話夏の夜

  

 

 

 5話 「夏の夜」     by しまむらかずお

  

 

夏になるとオバケが流行る。

 

遊園地のオバケ屋敷には行列ができ

 

ホラー映画が話題になる。

 

 

 

オバケとユーレイとは全く違うらしい。

 

それをものすごく簡単にいうと

 

オバケは人様にいたずらをし、

 

ユーレイは怨念が残るところに現れるのだそうだ。

 

 

 

幽霊の正体見たり枯れ尾花…と

 

昔から言われるとおり

 

そんなものいるかあ、と言う方と

 

いや、絶対存在する、と言う方がいる。

 

 

 

私はどちらでもいいと思う。

 

いてもいなくても、どちらもアリだと思う。

 

霊感が強いか弱いか、という言い方もあるが

 

それもどちらもアリだと思う。

 

 

 

無責任な言い方に聞こえるだろうが

 

信じていることを否定しない、

 

信じてないことも否定しない。

 

そういうことなのだ。

 

世の中、まだまだ分からないことがあるのは当然だ。

 

まず疑ってかかるか、まず信じてから始めるか

 

それは自分が決めることだ。

 

 

 

「夢は夜ひらく」という歌がある。

 

50年も前に、園まりが歌って大ヒットした歌謡曲だ。

 

その後、藤圭子が歌って、これも大ヒットした。

 

「赤く咲くのはケシの花…」で始まる彼女の歌は

 

「十五、十六、十七と、あたしの人生暗かった…」と続く。

 

 

 

日本人形のような美貌。

 

深く妖しげに光る瞳は、ほとんどまばたきをしない。

 

濡れたような唇がなまめかしく

 

意味もなくときめいたものだった。

 

彼女は当時18歳。

 

にも関わらず、今のアイドルのそれとは違って

 

笑顔のひとつ見せずに、投げ捨てるように歌う。

 

「怨念の歌い手」と称された人である。

 

 

 

彼女の本名は、宇多田純子。

 

宇多田ヒカルの母親である。

 

昨年、惜しくも他界した。

 

自殺だったと報道されている。

 

 

 

地方まわりの浪曲師の父と

 

三味線奏者の母との間に生まれた彼女は

 

歌の歌詞のとおり、貧しく暗い少女時代だったと聞く。

 

彼女はデビュー前、目の不自由な母の手を引いて

 

新宿あたりで、その三味線で歌の流しをしていたという。

 

表情を変えず、感情を見せない歌い方は

 

そんな生い立ちから来たものなのだろうか。

 

 

 

FOLKの世界にも「怨念の歌い手」がいる。

 

山崎ハコ。

 

当時のレコードジャケットは

 

彼女の顔だけの暗いモノクロ写真。

 

この人も無表情である。

 

「一番暗い歌」と称された「呪い」が収録されていた。

 

「コンコン コンコン 釘をさす…」

 

そんな歌、多分私は一生作らないと思う。

 

 

 

そんな「ハコ」を久々にテレビで見た。

 

当時のヒット曲、「織江の唄」が歌われた。

 

映画「青春の門」のテーマとなった歌だ。

 

「抱いてくれんね  しんすけしゃん…」と

 

博多弁の歌詞が胸に迫る。

 

あれから40年も経っているが、素晴らしい歌声だった。

 

考えてみれば、彼女を動画で見るのはこれが初めてだった。

 

情念、怨念…そんな言葉が浮かぶ歌声だった。

 

 

 

そんな歌を聞きながら思ったことがある。

 

歌は、そのメロディや歌詞を超えて

 

歌い手自身が醸し出すもののほうが

 

心に残るのかも知れない。

 

同じ歌でも、人によってガラリと様子が変わるはそのせいだろう。

 

うまい、へたではなく、味とでも言うべきもので

 

それは人間味からにじみ出てくるものなのだろう。

 

人間味とは、その人の生きて来た道のあり様と

 

そこをどう生きたか、で身についてくる匂いみたいなものだろうか。

 

 

 

私の歌は、残念なことに

 

ほかの人にカバーされることはないだろうから

 

自分の味しか出せない。

 

ほかの人が歌うのを聞いたことがないから

 

自分の味もよく分かっていない。

 

「呪い」のこもった歌は書かないが、

 

「願い」のこもった歌は、これからもいっぱい書くだろうと思う。

 

それを伝えるために表情その他

 

使えるものはすべて駆使して歌おうと思う。

 

 

 

歌が生まれてくるのは、決まって夜である。

 

辺りが暗くなり、独りになってからしか始まらない。

 

本当は寝たいときでも、生まれ始めるとしょうがない。

 

好きで夜更かししている訳ではない。

 

しょうがないのだ。

 

だって、「夢は夜ひらく」のだから。

 

 

 

(2014.8.20)

 

 

 

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コメント: 7
  • #7

    あっぷる (金曜日, 22 8月 2014 22:13)

    うわ〜っ、管理人室に、「管理人さん、お気に入り」の歌が追加されてる(^^)
    こんなに毎日、管理人室をウォッチしてる人は少ないかもしれないから、メジャーにしたいな(笑)
    ここへのコメントは場違いだったら、UPするのをパスしてかまいませんからね(笑)

    「夏の夜、暑さ理由に、書き放題」(笑)

  • #6

    レッド (金曜日, 22 8月 2014 21:04)

    メロディーさん、こんばんは(^^)
    山崎ハコさんのコンコンコンコン、検索しようか迷ってたけど、見ない決心がつきました。
    私、チョー怖がりなので、 コメントをありがとう(笑)

    夏の夜、みなみなさま、ぐっすり眠れますように☆彡

  • #5

    メロディー (金曜日, 22 8月 2014 11:33)

    見ちゃった 見ちゃった(>_<) 怖いもの見たさで 山崎ハコ さん。
    とっても綺麗そうな女性で、え!60代⁉︎
    でも暗い画面から「コンコンコン…」
    てーー!耳に、着いてしまった(◎_◎;)
    かなり涼しくなれました。

  • #4

    あっぷる (金曜日, 22 8月 2014 00:25)

    「夏の夜の夢」
    ー夢ー
    日本の辞書は、寝て見るモノ。
    アメリカの辞書は、起きて見るモノ。
    みなさぁん、KAZUOさんに両方を叶えてもらいましょうか(笑)

  • #3

    ななっぺ☆彡 (水曜日, 20 8月 2014 13:12)

    いろんな人に
    しまむらソング、
    歌わせてるやないですかあ(*^^*)


    私が歌った感じが
    まさにカズオ色だったと思いますが?(≧∇≦)b


    今後のご活躍を
    楽しみにしています☆彡

  • #2

    レッド (水曜日, 20 8月 2014 10:47)

    信じていることを否定しない、
    信じてないことも否定しない。

    すべてを受け止めるKAZUOさんなんですよね(^^)
    ドッジボールも、きっと全部受け止めるでしょ(笑)

  • #1

    フェアリー (水曜日, 20 8月 2014 08:39)

    歌の世界の奥深さを知りました。
    それにしても朝エッセイを読めて良かった。
    夜中に気付いて読んでたら想像力逞しい私はきっと眠れなかったかも(>_<)
    しまむらワールドの「願い」の歌でこれからも たくさんの人を“しあわせ”に誘ってください。

ウチとソト

 

第4話 「ウチとソト」 by しまむらかずお

 

昔、少し不思議な気がしたことがある。

 

家のことをなぜ「ウチ」っていうんだろう。

 

ドラマ「相棒」ふうに言うと

 

…「ちょっとしたことが気になりましてねえ。」

 

 

 

ウチは「内」に通じる。

 

自分の家のことをウチというのは

 

そこから来ているのだろう。

 

でも、勤務先のことまで

 

ウチの会社って言うよね。

 

自分が経営している訳でもないのにね。

 

…「ちょっとしたことが気になりましてねえ。」

 

 

 

一方、「ソト」の文字は「外」。

 

これは「ホカ」とも読む。

 

ウチじゃないのは全部ソト、またはホカ。

 

県外人、外国人、かやの外…

 

この国の人はどんだけ自分が中心なんだろう。

 

それだけウチが大切なのだろうか。

 

 

 

「内」輪もめがあってもソトには出さない。

 

 「ここだけの話」は「内」密の話。

 

「あんたにだけ言うのよ」も「内」緒の話。

 

いずれもソトでは言えないことばかり。

 

この世の中は、どうやら

 

ウチとソトとの使い分けで成り立っているのかも知れない。

 

 

 

この数日、ネットで探し回っているものがある。

 

自宅の一階に、新しくウッドデッキを作ろうということで

 

その製品を探していた。

 

作りやすく、かっこもよく、しかも適当なお値段で…。

 

色々調べて、辿りついて、今は「お買い物カゴ」に入れている。

 

 

 

ところが、よーしとばかり、広くもない庭を見渡すと

 

せっかく素敵なウッドデッキをこしらえても

 

そこは隣家の窓の前。いわば丸見え。

 

さらには古びた藤棚がサビまくり。

 

東詰めに迫る隣家の境には目隠しもない。

 

親父が残した花壇は荒れたままで

 

水はけの悪い庭にはコケがびっしり。

 

 

 

ダメだこりゃ…とばかり

 

今流行りのラティスを新たに立てることにして

 

リーフフェンスを巡らせて目隠しにして

 

土のうえには玉砂利を敷いて水ハケを図るか…

 

などと思いを巡らせて

 

またもやネットのページをめくった。

 

 

 

それはそれでいいのだが

 

ひとつ気がついたことがある。

 

ここで住み始めて40年にもなるが

 

そんなふうに家の庭をどうするかなどと

 

考えたことがなかったことに気がついた。

 

 

 

大工仕事は大好きで

 

大きな舞台セットが作れるぐらいに得意だし

 

自宅の設計だって自分で書いたほどだ。

 

にもかかわらず

 

いつも窓から見えていたはずの

 

庭への関心は全くなかったことになる。

 

 

 

今まで、どうしていたんだろう。

 

そうだ! ソトばっかり見て

 

ソトのことばっかりやってたんだ。

 

音楽も演劇も社会教育も市民活動も

 

全部、ソトのことだった。

 

 

 

そう言えばずっと昔

 

ウチの子育てはヨメさんに任せっきりで

 

ヨソの子どもの指導ばかりに明け暮れていた頃

 

こんなことを言われた。

 

「ヨソの子のことばかりやって、ウチの子はどうするのよ」

 

「ホントにあんたはソトっちゃんなんだから…」。

 

 

 

被災地にピアノを贈る運動が一段落して

 

ようやくウチに目が向いたのだろうか。

 

それとも、そういう齢になったのか

 

それは分からないし、両方かも知れない。

 

 

 

結局、ウッドデッキで始まった庭のプランは出来上がり

 

あとは注文さえすればいい。

 

その状態になったので

 

今は10月のリサイタルの準備に取りかかっている。

 

早くもソトに向いているワタシ。

 

 

 

ウッドデッキと庭の作業は

 

暑い最中にするものではないと棚上げしたが

 

もしかしたらそのまんまで

 

またもやソトのことばかりに奔走しやしないか。

 

我ながら心配だ。

 

…「ちょっとしたことが気になりましてねえ。」

 

 

 

(2014.8.18)

 

 

 

ご感想など、お寄せ下さい。

コメント: 4
  • #4

    ななっぺ☆彡 (水曜日, 20 8月 2014 13:17)

    いいやないですかあ(*^^*)

    理想のご夫婦です!


    言うやないですか、
    『亭主元気で留守がいい』(笑)


  • #3

    メロディー (火曜日, 19 8月 2014 23:37)

    (~_~;) ウッドデッキと庭の作業をするの〜?
    ぜひぜひ 写真を載せてください。
    「ウチ」の貴重な様子が見たいなぁ。

  • #2

    ぴあの (火曜日, 19 8月 2014 01:43)

    「ウチ」が気になったので
    大好きな辞書を引いてみました。
    たくさんの「意味」がありました。
    「知っている」と思っていたことにも「知らない」ことが。
    「見ている」ものにも「見えていなかった」ことが。

    しまむらさんの心の「ウチ」のエッセイ、
    とても楽しみにしてます。
    どんどん「ソト」に発信してください。


  • #1

    レッド (火曜日, 19 8月 2014 00:17)

    え?
    住み始めて40年?
    何歳に建てたおウチ?
    …「ちょっとしたことが気になりましてねえ。」

    本題に戻ります(笑)
    ウチのエッセイも、ソトのエッセイも、楽しみにしています(^^)

想像の翼

 

第3話 「想像の翼」 by しまむらかずお

 

 


NHK朝の連続ドラマ「花子とアン」のセリフが流行っている。

 

甲州弁の「てー」とか、「こぴっと」とか

 

思わず使ってしまいそうだ。

 

終りがけの三輪明宏のかすれた声の「ごきげんよう…」が

 

何とも妙に耳に残る。

 

 

 

もうひとつ度々出て来るのが

 

「想像の翼を広げて…」である。

 

主人公の花子の得意技であるが

 

これはものすごく共感できる。

 

私の小さな頃はまさにその翼を広げっぱなしだった。

 

 

 

貧しかったし、モノのない時代だった。

 

私たち子どもは小さなことを大きく膨らませて遊んだ。

 

板を削って作った刀や鉄砲

 

切れもしないし、弾も出ない。音もしないし、光りもしない。

 

それでもチャンバラはできたし、西部劇ごっこもできた。

 

ヒーローにもなれたし、悪党にもなれた。

 

風呂敷一枚でスーパーマンにだって簡単になれた。

 

まさに想像の翼をいっぱいに広げていた。

 

 

 

ひるがえって、今の自分を見てみると

 

今もどうやら変わっていない。

 

あれから嫌と言うほど歳を重ねてきたのに、と思うと

 

何だか誰かに謝りたくなる。

 

 

 

その一方で、

 

何となく自慢したい気持ちもある。

 

やーい、他の立派な大人たちよー。

 

ボクにはまだおっきな翼があるんだよー。

 

まだまだ想像の空を飛べるんだよー。

 

どうだい、いいだろー。

 

 

 

ま、要は、歳くった少年、だと

 

そう笑っていただいていい。

 

けれど、その翼があるからこそ歌が生まれるし

 

2時間もの台本が書ける。

 

もしもそれがないと、

 

舞台セットの一つすら生れやしない。

 

 

 

シンガーソング・コームインの頃

 

この翼が邪魔になったことがあった。

 

「理想を追うだけじゃダメだよ」と言われ

 

「まっ白い心のまんまじゃダメだよ」と真顔で言われたことがあった。

 

私の歳はすでに40代に近づいていた。

 

 

 

現実を見ない訳じゃない。

 

世の中は思い通りに行かないってことも知っていた。

 

それでも、夢見ることは止められなかった。

 

 

 

その頃、私は、「ミュージカルRYOMA」の制作にとりかかっていた。

 

これから作る100人の劇団のテーマソングが先に出来た。

 

「夢だけでは生きてゆけない。だけど、夢がなければ生きる意味がない…」

 

「SNOW」と名付けた劇団歌の冒頭の詩である。

 

実に青い詩である。

 

少し恥ずかしい気もするが、しかし、こんな歳までその青さをキープしていた自分が

 

今では誇らしい気がする。

 

よくぞ翼を捨てずに、もがされもせず、よくぞここまで来たなあと。

 

 

 

それがあるから今がある。

 

そう思えることが嬉しい。

 

「想像の翼」は「創造の翼」に等しい。

   

                                                 (2014.8.15)

 

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コメント: 2
  • #2

    レッド (火曜日, 19 8月 2014 23:12)

    KAZUOさんの創造の翼が、10/3金曜の夜に、創造…形になって見えるのを楽しみにしています

  • #1

    フェアリー (火曜日, 19 8月 2014 22:16)

    「創造の翼」バンザイ*\(^o^)/*
    子どもの頃の「想像の翼」はたくさんの人が持っていたでしょうね。
    でも、捨てずにもがれもせず 持ち続けてくれた 大人の翼は
    たくさんの人の夢を羽ばたかせてくれたよね。
    私にしたら長い(?)人生 ヤケになりかけた時も 輝く姿を見せていてくれたから、今 こうしてまた前向きに歩もうとしています。

高知の神田川

 

第2話 「高知の神田川」  byしまむらかずお 2014.8.10

 

 

 


90歳を超えた母に付き添って

 

病室にいる。

 

3日前に引き付けを起こして

 

慌てて入院した。

 

その夜の再度の引き付けには肝を冷やしたが

 

その後は落ち着いて、いつもの穏やかな母になった。

 

先ほどの昼食後、その母の静かな寝息を聞きながら

 

これを書いている。

 

 

 

病室の窓は北側に開いていて

 

すぐ下に神田川が見える。

 

と言っても「あなたはもう忘れたかしら…」の

 

あの川ではない。

 

「こうだがわ」と読む川で、

 

龍馬も泳いだ「鏡川」に流れ込んでいる。

 

 

 

 

 

高知市は昔、「河中」と書いて「こうち」と呼ばれた土地。

 

狭い町に7本もの河川が流れている。

 

この神田川は昨夜の台風で降った雨を集めて

 

濁った水を大急ぎで海に運んでいる。

 

空には明るさが戻り、緑が目に眩しい。

 

 

 

この川の堤防は実に「高い」。

 

増水している水面からでも

 

およそ8メートルもありそうだ。

 

普通なら川が「深い」というべきだろうが、

 

高知の町の大半は海抜ゼロメートル。

 

おまけに毎年、台風や大雨に見舞われるお土地柄。

 

 

 

したがって、全ての河川には高い堤防が設けられ

 

全ての橋はまるで天井川のそれのように

 

見上げる高さに架かっている。

 

川というより、大型排水路のようで

 

風情はないがこの町では見慣れた景色である。

 

 

 

神田川の堤防の内側に水面までの階段が斜めにかかっている。

 

コンクリート製で、見えているだけでも20数段もある。

 

その上から4段目に

 

昨夜の増水で流されてきた枯れ草が引っかかっている。

 

あと1メートルほどで堤防を越えるところだったのだ。

 

 

 

川岸も緑も何もない殺風景な川だが

 

そうやって私たちを守ってくれている。

 

普段は気にもならないものが

 

何かの折にその力と役割を発揮して

 

その価値を高める。

 

改めてそのありがたさを知る。

 

そんなことを考えさせる風景だ。

 

 

 

お昼を過ぎて空はさらに高くなった。

 

急に蝉の声が賑やかになった。

 

町ではよさこいまつりが本番を迎えた。

 

高知の町も夏本番だ。

 

テレビでは、鳴子の音がシャンシャンと響いている。

 

(2014.8.10)

 

 

 

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コメント: 2
  • #2

    レッド (火曜日, 19 8月 2014 23:02)

    お母さん、その後も、落ち着いていますように。。

  • #1

    sakura (火曜日, 19 8月 2014 22:56)

    夜が更けて、しまむらさんのエッセイに身を委ねる時間が好きです。
    見たこともない風景のはずなのに何故かすーっと迷い混んでいる様な…

    「カノンズの40曲一覧」には無いけど “リンクル”を聴きたくなりました。

「迷ったら…」

 

第1話 「迷ったら…」 by しまむらかずお 2014.8.4

 

 


今度の秋のリサイタルをどうしよう…

 

そう考え始めたのは梅雨が明けた日だった。

 

 

 

高知の夏は暑くて長い。

 

空はあくまで青く高く

 

まっ白い入道雲がムクムクと持ち上がり

 

絵に描いたような夏景色になる。

 

もはやそこに似合う花は

 

向日葵しかないのではと思うほどだ。

 

 

 

そんな時期に「秋」のコンサートのメニューを考えること自体

 

無理がある。

 

とはいえ、タイトルも決めねば、チラシも出来ない。

 

チケットの販売も、そのPRも出来ない。

 

「さて…」と、エアコンの効かない部屋で考え始めた。

 

 

 

まずは、これまでのコンサートの演奏曲の

 

洗い出しから始めてみた。

 

カノンズSPが誕生してから丁度6年

 

数えてみれば、36回の舞台に立っていた。

 

パソコンに残っているプログラムを開けて

 

その演奏曲を数えてみた。驚いた。

 

主なコンサートだけで46曲を発表し演奏している。

 

 

 

それも、私のソロ・コンサートで発表した曲を除いてである。

 

しかも、「ミュージカル桜咲くころ」の劇中歌15曲も除いての数字。

 

「どんだけえー」、の声がふと聞こえる。

 

いったいいつの間に、そんなにも…

 

大したもんだと自分で思う。

 

 

 

それはともかく、困ってしまった。

 

秋のメニューをどうしよう。

 

その特徴は? 今回のコンセプトは?

 

自らにそう尋ねてみたが何にも浮かばない。

 

困った…。

 

 

 

昔、職場の先輩から聞いた言葉がある。

 

「迷ったら、大衆に聞け!」。

 

「そうだ! みんなに聞いてみよう…」。

 

それでリクエストの多かった曲をやる。

 

ん…これはいいかも。

 

でもどうやって聞く?

 

その方法は?

 

えーと、えーとと、またまた悩み込んでしまった。

 

 

 

どこかのホテルのパーティーのご案内のように

 

返信用葉書を入れて送る?

 

いやいや、そこまではできないし

 

集計も大変。

 

やっぱりネットを使うしかないか…。

 

でも、ちゃんとしたホームページも作ってないしなあ。

 

 

 

一人で悩むことをやめて友人に相談することにした。

 

「こんな企画やけんど、どうしたらえいろう…」

 

「そりゃあ、ホームページを立ち上げて、アンケートをとって…」

 

どんどんと話は広がって、

 

やることが増えて、こじゃんと忙しくなった。

 

 

 

でもこの企画、

 

コンサートが始まる前から盛り上がるかも、

 

みんなが楽しんでくれるかも…と

 

その期待を胸にした嬉しい作業となった。

 

「いいコンサートにしたい」、その思いは人一倍強い。

 

でも「みんなが楽しめるコンサートが、いいコンサート」だと思えるようになった。

 

満席で200席サイズのラ・ヴィータだと、それができる。

 

かの、しまむらかずおさんはこう言っている

 

「迷ったら、面白い方へ進め」。(日めくり暦・第2集)

 

 

 

そんなこんなで、今はホームページと格闘中。

 

どうか、この思いがみんなに届けばいいなと思う。

 

楽しんでいただきながら、10月3日を迎えてほしいと思う。

 

もちろん私も、カノンズも。

 

 

 

 

ご感想など、お寄せ下さい。

コメント: 2
  • #2

    カノン (火曜日, 19 8月 2014 23:08)

    ホームページ待ってました!なんで今まで無かったのか不思議⁉︎
    みんなで盛り上がろう。
    それにしても、しまむらさんからはどれだけの詩が
    湧いてくるがやろう???

  • #1

    レッド (火曜日, 19 8月 2014 22:59)

    ここにも、いつの間にかコメント欄ができている(笑)

    リクエストを募るこのホームページもすごい!!
    「迷ったら、面白い方へ進め」
    KAZUOさんが進む道を、管理人さん、どんどん広げてくださぁい(^^)